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2005年01月10日

アメリカでアニメが普及してるらしい

しばらく更新がなかったのでご無沙汰してたのだけど、ひさびさに山形浩生さんのページをみにいってみたらたくさんテキストが追加されてた。どれも面白そうなので、コツコツ読んでいこう。

いちばん興味を引かれたのは、法に抗っての進歩:アメリカにおける日本アニメの爆発的成長とファン流通、著作権という論文の邦訳だ。原文はMITの大学院生によるものだ。彼はMITで日本アニメの講義とかもしてるらしい。アメリカの大学は奥深いなあ。。

この論文では、現在アメリカで隆盛な日本アニメがどのような過程でそうなったかを描いている。その成功の過程において、非商業ベースのファンによる活動によるものが大きいとある。彼らファンの活動は、著作権を侵害していたが、だれも損害を受けるわけでもなく、結果的には関係者すべてが利益を得たと論証する。ボクがこれを読んで驚いたのは、アメリカでのアニメ普及過程についてだ。そして、その過程の結果はとても考えさせられるものだ。

ボクはアニメを見ないので、アメリカや日本での日本アニメの隆盛には疎い。いま「ポケモン」や「ドラゴンボール」「遊戯王」がたいそう人気があるということもなんとなく聞いたことがある。一方で「鉄腕アトム」なども人気があったと知っていたが、現在のアニメの隆盛が「鉄腕アトム」などの延長にあるのではないのというのははじめて知った。また、それらの人気が大手資本による宣伝活動によるのでなく、ファンたちの活動によった結果であるというのも驚きだ。

そしてその活動は、法的には著作権違反であったけども、幸運にも(?)日本企業の無関心のおかげで発展し、結果的に日本企業も得をしたというのはとても考えさせられる。このことについて、この著者の主張は

--引用開始

 本文席における議論は、著作権すべてに反対するものではない。われわれはむしろ、まちがった憶測に反論している。技芸の進歩や文化の発達が、著作権の完全なコントロールを必要としている、という憶測である。新興市場において著作権がゆるまれば、発達が起こるかどうかは不確実だが、それが技芸の進歩を妨げることは決してない。少なくともこの一例においては、それは圧倒的な成功をもたらしたのである。

--引用終わり

とある。もちろんこれは特殊例ととらえるほうが自然で、ほかのメディア-たとえばゲームや音楽-に当てはめることは適当ではないし、どちらかというと既得権者なボクらにはとうてい認められない説だ。が、個人的にはとても魅力的な誘惑にかられるような主張だ。

ところで、アメリカにおいて日本アニメは独壇場的にシェアを握ったらしいけど、今後はどうだろう?ゲーム業界みたいに、市場のおいしさに気づいたアメリカ企業がどんどん参入してくるようになれば、優位はおちてくるのだろうなあ。でも、ディズニーはなんだかあれだし、ピクサーはCGだし、ほかにそんな話は寡聞にしてしらない。アニメはやはり子供向けだと彼らはタカをくくっているのかな?

投稿者 osa : 2005年01月10日 13:01

コメント

Hi, there. Happy New Year!! How are you doing?

I finally find this blog.

I heard that American animations are strictly limited by opinions of PTA, about any aspects of them such as characters and stories. Because most of Americans understand animations are developed for kids. On the other hand, most of Japanese assume animations are developed for any generation, not only kids. So, I think, no American companies can developed cool animations for non-kids, such as Ghost In the Shell or Neon Genesis Evangelion.

投稿者 Naoki Ohsugi : 2005年01月12日 00:50

やあ。こんばんは。おかねブログへようこそ。そしてコメントありがとう。ちょっときょうは忙しかったので日本語で返答だ(謎)

PTAの圧力が強いというきみの指摘はとても興味深いね。ボクはぜんぜんそこに思い至らなかった。たしかに、自由な国のイメージに隠れてアメリカでは倫理的な規制が厳しいと聞いたことがある。たしかにアニメ→子供→倫理的にという図式はあるのかもしれない。子供向け以外のアニメがつくりずらい風潮はあるのかもね。

ところでディズニー映画とか「子供が見たい映画」というよりも「子供に見せたい映画」って感じがするもんね。そして、ボクが思うに、子供自身がそうした子供扱いに敏感だ。だから、彼らは「アニメは子供向け」と思っているのはともかくとして、実は子供にも相手にされてないのではないかなあともおもう。

投稿者 おかね : 2005年01月13日 00:15

そうそう,スパイダーマンや X-Men みたいな非人間が登場人物でないと,暴力的な漫画/アニメは許されないらしい.マーブルはヒーローモノしか作らないんじゃなくて「作れない」.ディズニーはファンタジーしか作らないんじゃなくて「作れない」らしい.

少なくとも日本アニメは絶対にアメリカには負けない.
韓国とか中国とかに脅威を感じた方がいいかも.

投稿者 Naoki Ohsugi : 2005年01月14日 14:30

賛成<敏感
子供,特に小学生以上,は大人が思っているより残酷で賢くてエロい.
規制とかあんま意味ない.

投稿者 Naoki Ohsugi : 2005年01月14日 14:32

ほうほう。でも、彼らは儲かるとわかると猛然と産業化してしまうからなあ。ゲームでも「こんな細やかでおもしろいゲームは日本でないとつくれない」とかいわれてたような気がするけど、最近はアメリカでもよく研究されて、日本ゲームはいまいちふるってないしなあ。アングロサクソンな人々は物事を一般化してマニュアル化するのが上手やし。

というわけで、今の日本アニメの優位もなんかの拍子で入れ替わるかもなあと。韓国中国に関しては意見は保留。。。

投稿者 おかね : 2005年01月16日 19:37

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